個人サービスで売り上げが出るまでに取り組んだこと
普段はフリーランスのエンジニアとして働きながら、並行して個人開発をしています。今までにいくつかのサービスをリリースしていますが、LINE と Web で勤怠管理ができるサービスOFFICE CLOCK の開発・運用は継続的に頑張っています 💪
LINE と Web で勤怠管理ができるサービスです。LINE と Web のアカウントを紐づけてブラウザを開かなくても LINE のタイムライン上で出勤・退勤の打刻ができるというサービスです。
2018 年 11 月に OFFICE CLOCK を大きく作り変えてから半年が経って、登録者数もじわじわと増えてきました。そして、ありがたいことに有料で使っていただいているお客様もいます 🙌 本当にありがとうございます 🙇♂️
2018 年 11 月からの、約半年間の売上が出るまでの取り組みなどを、備忘録として note にまとめてみました。少し長いのですが、お時間あるときに読んでいただけるとうれしいです。
リリース後に燃え尽きてしまった
OFFICE CLOCK の初めてのバージョンは 2018 年 2 月 17 日にリリースしました。約 1 年前ですね。開発からリリースまでの話は Qiita にまとめています。お時間あれば読んでみてください。
https://qiita.com/Yuta_Fujiwara/items/a195adbd70f0d08cc3d4
リリースしてからの半年間、大きなバグの改修以外は、ほぼノーメンテ状態でした…。理由としては、無事リリースできたときの達成感が半端なく、燃え尽きてしまい運用する気持ちが閉ざされていました…。ただ、開発の熱が冷めたわけではなかったので、ちょっとした小規模のサービスをいくつか開発していました。
THE BINGO - 超簡単にビンゴ大会が開催できる Web サービス
BLOCK CLOCK - 25 分間ブラウザから Twitter をブロックする Chrome 拡張
https://tech-portfolio.org/block_clock/
OFFICE CLOCK についてはノーメンテの半年間にも、ちらほらと新規登録はありましたが、ほぼ使われていない状態が続いていました…。
ある日大きな挫折を味わう
リリースしてしばらく経ってから、法人からのお問い合わせをいただきました。
話を伺うと『社内に LINE WORKS が定着してきており、LINE で打刻できるのが魅力なので、導入を検討したいので連絡した』とのことでした。Googole 検索で『LINE 勤怠管理』で検索すると、上位に表示されるので連絡をいただくことが、他にも数社ありました(この辺りから SEO を意識したアウトライン・マークアップを気をつけるようになりました)。
打ち合わせも数回重ねて、見積もりもスケジュールも提出して営業していましたが、他の競合サービスと比較すると、今の OFFICE CLOCK を導入するメリットはない。という判断から、この話は無くなってしまいました..。
今考えると当然の結果ですが、とても不甲斐なく悔しかったのです…。これがきっかけとなり『勤怠管理のサービスとして使えるための最低限の機能は実装する』と決意しました。普通に考えればわかることですし、本当にあたり前のことですが気がつくのに半年間かかりました…😢
もう一度やる気のスイッチが入った瞬間でした。めらめら 🔥
フロントエンドを全て作り変えた
やる気のスイッチが入ってからの最初の取り組みは、フロントエンドの見直しでした。流入の半分はスマホでしたが、レスポンシブ対応が十分にできていない課題感がありました。
その課題感を解決するために 1.5 ヶ月ほどかけてフロントエンドを全て見直しました。
- BootStrap を Semantic UI へリプレイス
- マークアップを見直し
- レスポンシブに対応
そして、2019 年 11 月にリニューアルバージョンをリリースしました 🎉
※ 現在 Semantic UI は更新されておらず、Folk して作られている Fomantic UI に最新のモジュールなどが追加されているので、こちらがオススメされています。
ユーザーインタビューをやってみた
フロントエンドを作り変えてから、ユーザーからの客観的な評価がとても気になっていたのでユーザーインタビューをしました。
ユーザーインタビューの方法としては、毎日使ってくれているユーザーをピックアップして、GoogoleForm で作った簡単なアンケートを DM でして、新バージョンの評価をしてもらいました。
アンケート結果の一部
- 前のバージョンにあった機能を復活させてほしい 。
- 修正がしにくくなった。
- スマホからの利用は改悪に感じます。
ユーザーインタビューの結果は、割と不評で…レスポンシブ対応した意味を真剣に考えました 涙…。ただ、ユーザーインタビューには新たな発見がありました。
スクラップアンドビルドの繰り返し、何時間もかけ試行錯誤して一人で開発していると客観的な評価が難しくなります。リリース後は、テンションも上がっており「これだけ時間をかけて作ったんだから使いやすいに違いない!喜んでくれるに違いない!」と勝手に舞い上がっていました…。ものづくりをしていると、よくある感覚ですよね…。ないですかね?僕だけですかね。すいません…。
一人で開発して客観的評価をするのは中々難しいところがあるので、誰かにレビューをしてもらったり、意見を聞いたりするのはとても大切ですね(当たり前ですが)。今後は積極的にユーザーインタビューしていきたいですね。
(フロントエンドを作り変えた話で LT をさせてもらいました 🙏)
新機能をリリース
管理者機能
恥ずかしながら、OFFICE CLOCK は勤怠管理のサービスなのに、管理者の機能がありませんでした…。1 人でしか使えないサービスだったものをチームでも使えるように改修しました。管理者として登録すれば、一般ユーザーを招待して、チームで勤怠管理ができるようになりました。
この機能をリリースしてから、継続的に使ってくれるユーザーが圧倒的に増えました。まだまだ足りていない機能はあるので、今後も追加していく予定です。
カードリーダー打刻機能
OFFICE CLOCK をチームで使うとき、スマホを持っていない人もいるため Felica(Suica や edy 等)を読み込むカードリーダー PaSoRi を使って、打刻する仕組みを作りました。端末に接続されている USB デバイスと、Web ブラウザが通信できる WebUSB の API を使って実装しています。
(金融系の SIer 時代に開発していた低レイヤーの技術が、ここで役に立つ)
OFFICE CLOCKにカード打刻を実装しており、今週中にはリリースする予定です〜🤳
— フジワラユウタ (@Fujiyama_Yuta) April 8, 2019
WebUSBのAPIを使ってブラウザとカードリーダーが通信しています。
新年度からの勤怠管理に使ってみてください〜!無料です!https://t.co/smpzHZZ9mM pic.twitter.com/cMsJeh1Tpq
Service Worker 対応
漠然とアプリ対応もしたいなーと考えたりはしており、クロスプラットフォームの Flutter などを触ってみたりしました。しかしゼロからアプリを作るとなると学習コストが半端ないことに気づき、暫定の対応として Service Worker で『ホーム画面に追加』の機能を実装しています。
Service Worker(PWA)ではローカルキャッシュや Push 通知も可能なので、今後キャッチアップして取り入れたいですね。
システム構成の見直し
ざっくりとしたシステム構成は以下のような感じです。サーバー側は REST になっているので、クライアントは API を呼び出してデータを取得する。よくある感じのシングルページアプリケーションの作りになっています(一つのサーバーに PRD と STG 環境が相乗りしてる部分も本当は改善したい…。資金力と時間があれば…)。
(ユーザーのアイコンの画像を保存するストーレジサーバーは Firebase Storage を使っていたり、キャッシュサーバーを使っていたりもするのですがそこは割愛しています。)
ここからが本当のスタート
今までの個人開発はどちらかと言うと、世の中に無さそうな、自分が欲しいサービスを、新しい技術でチャレンジするスタンスで開発していました。使われなくても、自分が使うためにサービスを開発していました。
今は少しづつスタンスも変わってきていて『どうすればユーザーが継続的に使ってくれるか?』を意識して開発しています。多くはありませんが、お金を払ってくれているユーザーもいるので、その人たちに『やっぱこれ便利だな』と言ってもらえるようなサービスにしたい。
自分の開発したサービスに、わざわざお金を払って使ってくれるという体験は、エンジニアをしていて本当に心の底から嬉しい体験でした。『新しいサービスを作りたい欲望』をぐっとこらえて、しばらくはこのサービスを育てていきます 🌲
ここからが本当のスタートです!
追記
タイトルにもなっている『個人サービスで売り上げが出るまで…』のことを書いていなかったので追記しておきます。
3 月に入ってから、法人の問い合わせが急に多くなってきました。理由を聞いてみると 2019 年の 4 月から施行された『働き方改革法』の影響でした。
僕も法律の内容を全部を把握しているわけではないですが『残業時間の上限規制』『5 日間の有給義務化』等が義務化され、法人は職員の勤怠を管理しなければならなくなりました。 その法律の影響を受けて、Googole 検索から OFFICE CLOCK を見つけて、問い合わせをいただきました。
2019 年 4 月より順次施行。「働き方改革法」への具体的対策とは?【大企業編】
https://mag.smarthr.jp/labor/detail/hatarakikatakaikakuhou_taisaku_daikigyo/
OFFICE CLOCK は他の大手が開発する勤怠管理に比べて最低限の機能しかありません。ただ、法人によっては、シンプルな機能だけで OK という法人もあると思います。今回は『働き方改革法の施行』と、OFFICE CLOCK がシンプルなサービスだったというのが重なり契約をしていただけました。
つまり運が良かっただけなのです…。
最後は宣伝になってしまいますが、『働き方改革法』で勤怠ちゃんとしないとヤバいかもと思っていた経営者の方、ご担当者の方がいましたら、ご連絡いただければご連絡いただけたと思います! そして個人の方は無料なので、ぜひ使ってみてください 👍